育児

非認知能力について

非認知能力とは

  • 認知能力
    数値化できる測りやすい力。IQや偏差値、学力などの知識・技能。
  • 非認知能力
    数値化できない測りにくい力。意欲、協調性、忍耐力、計画性、想像力、創造性、コミュニケーション能力など。社会情緒的スキルとも呼ばれます。今話題のグリット(GRIT)なんかも代表的な非認知能力です。

外発的動機づけ

報酬や評価、罰則や懲罰といった、外部からの働きかけによる動機づけのこと。いわゆるアメとムチですね。産業革命後から20世紀にかけて主流だった考え方で、決められたことを指示命令通りに動く人が社会に求められました。しかし、これからは指示命令通りの単調な作業はAIに取って代わられる可能性が高いです。これからの社会では創造力など人間にしかできないことが求められます。20世紀までのアメとムチのやり方では成功する可能性は低いです。

内発的動機づけ

ロチェスター大学(アメリカ)の心理学者、エドワード・デシ(Edward L. Deci)とリチャード・ライアン(Richard M. Ryan)が提唱した「自己決定論」で名づけられました(https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1207/S15327965PLI1104_01)。人は自分の行動が生む表面的な結果ではなく、その行動によってもたらされる内面的な楽しみや意義を動機として決断をくだすという動機づけのこと。この内発的動機づけがAI全盛の時代には重要になってきます。ちなみにデシとライアンは教育に関しては、人間は生まれながらの学習者で、子どもたちは生まれつき創造力と好奇心を持っていて、「学習と発達を促進する行動を取るよう、内発的動機づけがなされている」と言っています。

アンダーマイニング効果(undermining effect)

内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーションが低減(内発的動機づけを阻害)する現象です。前述のデシ氏が1971年に行った「大学生を対象にしたソマパズルの実験」が有名です。ダニエル・ピンクの著書「モチベーション3.0」(講談社)やポールタフさんの本でも紹介されています。

私自身も子ども時代を思い返してみると、アンダーマイニング効果だったんじゃないかな~という出来事があります。それは小学生の頃、通知表で一番評価の高い「とても良い」が1つにつき100円貰えました。この制度のために結構頑張って勉強をしていた記憶があります。しかし、中学生に入るとこの制度がなくなったのですが、お金がもらえないのに勉強をするのが損している気分になったのを覚えています。勉強の意義や楽しさが、この頃の私にとってはお金をもらえるからやるものになってしまっていたのです。

適切な外発的動機づけが重要

勉強にしろ仕事にしろ全てのことに対して内発的動機づけをしていくのは、ほぼ不可能です。勉強を例にとれば、何かを学ぼうとしたときに、習熟度を上げるためには、たくさんの反復練習を要します。小学校なんかの宿題で出される計算ドリルや漢字ドリルもそうですが、反復練習は基本的には退屈なものです。こういったとき、つまり内なる満足のためではなく、何か別の結果のために行動しなければなくなったときに「外発的動機づけ」が必要になります。このときアンダーマイニング効果にならないような適切な外発的動機づけが重要になるのです。

適切な外発的動機づけをする(非認知能力を伸ばす)ためには

次の3つの環境をつくることが重要です。

(1)自律性

自分で決めて、自分の意志でやっているときで、管理・強制されていると感じさせないとき。幸せになるには自己決定が大切で、誰かにコントロールされている間は、幸せにはなれません。自分がやりたいことをやる自律性を尊重してくれる環境があれば、やる気が出るのです。

(2)有能感

現在の能力をほんの少し超える難易度の課題を与えられたとき。つまり、やればできると思えたときに有能感を感じる。このとき自分が世の中の平均と比べてし優れているから有能だという感覚にならないように注意してください。何故なら、この場合自分よりも優れた人が現れたり、何か失敗したりすると簡単に崩れたりする不安定なものになってしまうからです。良いところも悪いところも含めて自分を受け入れているということが大前提です。親が「成功しろ、良い大学にいき良い会社に入れ」というように結果だけに価値を置いているとき、子どもは高いストレスを感じ、成績低下・問題行動へとつながる可能性が高くなります。「あなたはできる」と信じていて、だけど失敗したり出来なくても、(批判せず)あなたを愛しているよという気持ちが重要なのです。

(3)関係性

信頼され、価値を認められ、尊重されていると感じるとき。つまり、良い人間関係を持つということ。親の批判は最も有害です。

批判せずに支援する方法

  1. 悪いことを人格のせいにしない
    「あなたは、なんてだらしないの」や「あなたは、いつも~」の「いつも」などは人格の全否定へつながるので注意。人格はすぐに変えられないので、相手は無気力になり、それが怒りにも発展したりします。
  2. 「あなた文」ではなく「わたし文」を使う(アサーティブコミュニケーション)
    「あなた」を主語にすると、相手は責められていると感じます。なので、責めたい気持ちの裏側にある本当の気持ちを表現します。
  3. 暴力的なセリフを使わない
    親からの批判は子どもの自尊心を傷つけるので、暴力的なセリフはやめましょう。

自分(親)も子どももセルフコンパッション

セルフコンパッションとは、大切な人を思いやるように、自分自身を思いやることです。セルフコンパッションが高いとウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念)が高まります。

セルフコンパッション3つのポイント
  1. マインドフルネス
    ネガティブな感情や困難をそのまま受け止める。「悲しいのね」「悔しいのね」「怒っているな」と気持ちをそのまま認める。
  2. 人としての共通性
    人は不完全だからこそつながりあっていると考える。「そういうこともある、あなただけではない」と慰める。
  3. 自分への優しさ(積極的な優しさ)
    大切な人にしてあげたいことを自分に置き換えて考える。その答え(優しさ)を行動に移す。

子どもが悪さをしたり、悲しいことがあって泣いていたりしているとき、子どもを膝の上に乗せたりして距離を縮め、話をしっかり聞きます。そして、気持ちをそのまま受け止めて共感し(マインドフルネス)、「人間だからそういうこともある、あなただけではない」と慰め(人間としての共通性)、「あなたが少しでもいい気持になるためには、何が必要かな?」(積極的な優しさ)と一緒に考えて、それを実行してみてください

まとめ

いかがでしたか。非認知能力は幸せに生きるために必要な能力で、認知能力の土台にもなる重要な能力です。非認知能力を鍛えるために我々親は何ができるのか?時代が変わっているのに、親など周りの大人が変わっていかないのは問題です。教育機関でさえ未だに報酬と罰で子どもを管理する古い教育システムを続けています。我々大人が経験則だけに頼るのではなく、新しいことを学び続け実践していくことが大切なのではないでしょうか